ど素人の不動産屋チャレンジ:夢を掴むまでの全記録

ゼロから不動産のプロへ、夢を追いかけた私のリアルストーリー

【第四話】挫折からの再起:自由を求めた男が辿り着いた新たな挑戦

新たな道を模索して

離婚と共にすべての仕事を手放した後、僕はまるで行き場を失った船のように、どこにも辿り着くことができずに漂流していた。朝が来ても、ただベッドの上で天井を見つめるだけの日々が続いた。何をすべきか、どこへ向かうべきか、その答えはどこにも見つからず、時計の針だけが無情に時を刻んでいった。

その一年間は、まるで夢の中にいるようだった。現実感がなく、ただ流れるままに過ごすだけの日々。時には、街のカフェでぼんやりと外を眺めたり、河川敷を歩いて無駄に時間を潰したりもした。だが、そんな無意味な時間の中で、次第に自分の中に潜む「弱さ」に気づかされるようになった。

ふと振り返ると、これまでの自分は、まるで「会社ごっこ」をしているかのようだった。たまたま成功したからこそ、現実を直視せずに済んでいた。しかし、その成功が、逆に自分を成長させる機会を奪い、傲慢さを生み出してしまったのだ。自分の中にある「天狗」という名の悪魔が、知らぬ間に心の中で大きく育っていたことに気づいた時、恥ずかしさと悔しさが胸を締め付けた。

その反省は、容赦なく僕を打ちのめした。男として、夫として、パートナーを幸せにするどころか、逆に傷つけ、失望させてしまった自分の無力さを痛感せざるを得なかった。そして、仕事を通じて関わった人々にも、何の恩返しもできないまま立ち去ってしまった。彼らへの感謝の気持ちはあれど、それを表すこともできず、ただ申し訳なさだけが心の中に残った。

その結果、僕の心はますます苦しみと後悔で満ちていった。過去の失敗や過ちが重くのしかかり、前に進むことを阻んでいたのだ。しかし、それでも何かを変えなければならないと、心の奥底で感じていた。そして、再び立ち上がり、新たな道を模索し始めることを決意した。その道がどこに繋がっているのかはまだわからなかったが、一歩ずつ前に進むしかないということは、はっきりと理解していた。

再起を目指して

「このままではいけない。何かできるはずだ。」

そんな切実な思いが私の心の中で渦巻いていた。失意の日々を過ごす中、心の奥底で何かが叫んでいるのが聞こえた。それは、自分にはまだやれることがあるという信念だった。この思いが私を前に押し出し、絶望の淵から這い上がらせる力となった。

そして、その苦悩の中から一つの明確な答えが浮かび上がってきた。それは、元々得意だったパソコンを使った仕事への回帰だ。私は決断した。建築業界への興味を胸に、新しいキャリアを築くため、CADのスクールに入学することを。

学校の扉を開けた瞬間、新しい未来への期待で胸が高鳴った。教室には、同じように夢を追い求める仲間たちがいた。彼らと一緒に学ぶことで、私の中の情熱はさらに燃え上がっていった。設計業務だけでなく、建築業界でどれだけの成果を上げることができるのか、その可能性に胸が躍った。

CADのプログラムは、パソコンに長けていた私にとっては、予想以上にスムーズに習得できた。画面上で形になっていく図面を眺めるたびに、自分の中で何かが確実に変わっていくのを感じた。それはただのスキルアップ以上のものだった。自分自身が生まれ変わっていく過程だった。

図面を描くたびに、心の中で小さな声が「できる」「まだ終わりじゃない」と囁いた。その声は次第に大きな叫びへと変わり、押し寄せる挫折感を一掃した。私は再び立ち上がり、失われた自信を取り戻す過程で、人生をリセットする勇気を持つことができた。

今、私は新たな道を歩んでいる。過去の失敗から学び、未来に向けて一歩一歩進む。この新しい道は、かつての私を完全にはぎ取り、新しい章を刻むためのものだ。

新たな挑戦:エクステリア業界への飛び込み

かつての夢は、巨大な建築会社の設立だった。しかし、その夢は許可と資金の壁に阻まれ、現実の厳しさに直面することとなった。私は重い足取りでその計画を棚上げにせざるを得なかった。だが、心の中の火は消えてはいなかった。新たな可能性を模索する中で、意外なアイデアが浮かんだ。「庭」――正確には、エクステリア業界への挑戦だ。

エクステリアならば、開始に必要な資金も許可も比較的容易であることを知り、すぐにでも始められるチャンスがあると感じた。建築設計の知識はあったものの、エクステリアに関しては未知の世界。私は知識の海に飛び込む決意を固めた。

新たな道を歩むため、私はエクステリアの会社に入社し、その世界の奥深さを学び始めた。仕事の毎日は、新しい発見と挑戦の連続だった。花々を植え、石を並べ、水の流れを作る。自然と対話しながら、人々が安らぐ空間を創出する技術を身につけていった。

一年間の熱心な学びと実践を経て、私はついに独り立ちする準備が整った。エクステリア業界での営業活動を始めるその日、私は新しい自分を感じていた。かつての建築家としての夢を、小さな庭を通じて形に変えていく。それは、ただ美しい庭を作る以上のことだった。人々の生活に直接触れ、その日々に彩りを加える仕事。図面上の線が、現実の世界で生き生きとした表情を見せる瞬間、私は「できる」という自信と共に、「まだ終わりじゃない」という希望を深く胸に刻んだ。

この新しい挑戦が、再び私の人生に意味を与えてくれた。これが私がエクステリア業界に飛び込んだ理由であり、未来への第一歩となったのです。

エクステリア営業への挑戦と転機

エクステリア業界に足を踏み入れた私は、未知の世界での生き残りをかけ、一心不乱に営業活動を開始した。ハウス展示場を一件ずつ訪れ、自分の描いた3D図面を手に、建築会社のドアを叩いた。一軒一軒、紹介を懇願し続ける日々。しかし、その頃の私にはまだ、エクステリアの実際の施工を担える職人との繋がりがなく、図面を描けど施工の見通しは立たず、不安と焦りが日々を覆っていた。

それでも、私は後先考えずに営業を続けた。現場を見つければ、そこで働く職人たちに声をかけ、仕事の依頼をする毎日。自ら足を運び、土にまみれ、汗を流し続けた。そんな努力が、運命を変える一本の電話へと繋がった。

その日、私の携帯電話が突然鳴り響いた。表示されたのは見知らぬ番号。電話の向こうの声は、私が何度も訪れたハウス展示場で働くメーカーの営業マンだった。「メーカーでエクステリアの提案をしているが、予算の都合で実現できないお客様がいる。直接、低価格のプランを提案してもらえませんか?」とのことだった。

その瞬間、心の中で歓喜の声が叫んだ。「やったー!」と。これが私にとっての大きな転機となり、失われていた自信がよみがえった。初めての依頼に心を躍らせながら、私は準備に取り掛かった。その後の2ヶ月間、一件も契約が取れず、不安と闘い続けたが、あきらめることなく努力を重ねた。

そしてついに、5ヶ月目にして最初のお客様との契約を締結することができた。この5ヶ月間でどれだけ多くの人々と顔を合わせ、話を交わしたことか。それは数え切れないほどだった。忙しく、時には絶望を感じながらも、私は一つ一つの経験を積み重ねていた。

その年の終わりには、私の小さな会社は4000万円の売上を達成した。それは、単なる数字以上の意味を持っていた。それは、無から有を生み出し、自己確立へと繋がる道のりの証だった。私は再び、自分の人生を自分の手で切り開くことができると確信していた。


山下昌也の物語は、夢を追い続けることの大切さと、新しい挑戦への勇気を教えてくれる。彼の人生は、まだまだ続いていくのだ。

〜to be continue